ル・ラパン・エレ

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 奏芽(かなめ)さんの言う通り、知らないうちに酔いが回っていたら怖いなって……恐る恐る立ち上がってみた。  けれど、幸いまだ足が立たないと言うことはないみたいで、ちゃんと真っ直ぐ歩くこともできた。  それを見た奏芽さんがホッとしたように吐息を落として、私も内心安堵の息をついたの。 「いいか、凜子(りんこ)。湯船には絶対浸かるなよ? 身体が温まるとアルコールの回りが早くなって危ねぇから。――あと、シャワーも立って浴びたりせず、椅子に腰掛けて浴びるように。いいな?」  噛んで含めるようにあれこれ言ってくる奏芽さんに、「奏芽さんったら何だかお母さんみたいですよ?」と思って、(はし)なくも笑いが込み上げてしまう。  それで、「はい! わかりましたっ!」っておどけて敬礼してみせたら、奏芽さんがますます不安そうに眉根を寄せるの。
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