*初めてをあなたに

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「ほら、おねだりしてみ?」  ほどかれてかき乱されて……顔にかかってきたゆるいウェーブのかかった髪に触れられて。  ほどいていいなんてまだ言ってないのに!って、心が引っ掻き回されてそわそわするの。  考えてみたら、いつだって彼はやると決めたら強引にことを進める人だった。  そう、初めて出会ったあの日から。少なくとも最初のうちは。  でも私、今思えばそんな風に奏芽(かなめ)さんに振り回されるの、心の底から嫌だって思ったことはなかった気がするの。  金里明真(あの男)に捕まったとき、あれこれ自分勝手にされた際に感じた恐怖は、奏芽さんには抱かなくて。  だから私、奏芽さんに――。
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