1547人が本棚に入れています
本棚に追加
ふらつきこそしなくなったけれど、体内に確かに残るアルコールのおかげかな?
しどろもどろになりながらも、奏芽さんの手を握ったまま、彼の目をじっと見上げてそう言ったら、奏芽さんが瞳を見開いた。
「凜子……」
甘くかすれた低音ボイスで名前を呼ばれて、トクンッと心臓が音を立てて跳ねる。
未だ奏芽さんの手に触れたままだった手を、ぎゅっと握り返されて、ほんの少し奏芽さんのほうへ引き寄せられた。
そのまま奏芽さんの顔が近づいてきて――。
私はそっとまぶたを閉じた。
二十歳になって初めてのキスは、ついばむようないつも通りのキス。
でも、角度を変えては唇同士が触れ合うだけの口付けが幾度となく続いたのは初めてで。
こんな風に一時に何度も何度もキスを重ねられたことはなかったから。
奏芽さんの唇が触れるたび、ドキドキと胸がうるさく騒いだ。
ふたりの唇の温度がほぼ等しく重なって、心地よさに身体の力が抜けてきたころ、唇の隙間に不意に奏芽さんの舌が差し入れられた。
最初のコメントを投稿しよう!