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「凜子、なんで謝んだよ」
私の涙を、グラスを手にしていない方の手指の腹でそっと拭い取ってくださってから、奏芽さんが少し怒ったように私を真正面から見つめてくる。
奏芽さんはそのままベッドの宮棚にグラスを置いて、私の頬を両手で挟み込むと、視線を外せないように固定してしまった。
「わ、……わた、し……初めてなのに……凄く……気持ち……よ、くて……。は、はしたなかった、です。い、今もそのせいで……身体が自由に動かせなくてこんな……。穴があったら入り込んで……地中深く埋まってしまいたいですっ」
きっと奏芽さんには分かっているし、隠せっこない。
私が気持ち良すぎてこうなってしまったこと。
だから観念して告白したのだけれど。
言葉にしたら本当に淫らでふしだらな女だと吐露しているみたいで、涙が止まらなくなった。
こんなことでメソメソしたら面倒くさい女のイメージまでついてしまうというのに。
「……ご、め……なさ……っ」
頬を挟んだ奏芽さんの手指まで濡らしてしまっている。
本当にダメだ、私。
と、すぐ目の前でククッと笑う声がして。
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