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「そっか、じゃあ、湯から出てここに座って?」
シャワーを手にして壁に面した浴槽の縁を指さすと、壁面にお湯を掛けて冷たくないようにしてくださいながらそう言われて。
私はさすがにお湯から出てしまうことに躊躇いを感じて戸惑ってしまう。
「あ、あのっ、でもっ」
「イヤはなし。さっき約束したよな?」
先刻奏芽さんがしたいようにしてもいいと言ってしまった時、そう釘を刺された。
でも、だからといってその言葉を受け入れるのは何だかやっぱり抵抗があって。
オロオロと奏芽さんを見つめて困っていたら、「凜子はもう、全部俺のもの、だろ?」って。
低めた声で甘えたように問いかけてくるとか……ずるい。
胸と下腹部が隠れるように手で覆いながら恐る恐る浴槽の縁に腰掛けたら、奏芽さんも浴槽内で立ち上がられて。
お互い、所々にきめ細かな泡をまとわり付かせているのが、何だかやけにエッチに思えて。
いつものサラサラストレートのイメージと違って、濡れそぼった髪の毛をかき上げるように無造作に後ろへ撫で付けていらっしゃる奏芽さんのその頬が上気しているの、凄く色っぽい。
あの薄い唇で何度も口付けられたんだって思ったら、すごくドキドキしてしまった。
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