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「凜子ちゃん! ひとりで大丈夫って……本当に何ともなかった⁉︎」
大学に着くと、門のところに四季ちゃんが立っていて、私を見つけるなり走り寄ってきた。
少しもしんどくなかったと言ったら嘘になる。
でも私、あの事件以来初めて……。どこかで立ちすくんで動けなくなってしまうことなく、ここまでちゃんと1人で歩いて来られた!
「うん。ちゃんと……頑張れたよ」
四季ちゃんの顔を見たらホッとして、足の力が抜けてしまって。
それに気付いた四季ちゃんが、すぐに腕を支えてくれる。
「あっちでちょっと休もっか」
構内に入ってすぐのところに置かれたベンチを指さすと、四季ちゃんが私の手を引いてゆっくりと歩き出す。
私、情けないぐらい足がフルフル震えて、足取りが覚束なくて。四季ちゃんと手を繋いで千鳥足みたいになりながら、何とかベンチまで辿り着けた。
久しぶりの独りぼっちでの外歩き。気が張っていて四季ちゃんの顔を見るまでは気付かなかったけど、知らず知らず結構無理してたのかなって反省した。
でも。
私、ちゃんとひとりで大学まで歩いて来られたんだよね?
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