1549人が本棚に入れています
本棚に追加
今、四季ちゃんに会ったことで気が抜けてヘナヘナになっていることは、もちろん内緒。
変なことを言って、これ以上大好きな奏芽さんに心配かけたくないもの。
きっとGPSで確認すれば、私が大学の敷地内に入っていることは一目瞭然だと思う。
それでもこうやってメッセージを入れることは、きっと奏芽さんをより安心させることに繋がると思うの。
案の定、奏芽さんからすぐに既読がついて、『良かった。けど、無理はするな』って返信が。
奏芽さんは恐らく私が今、こんな風に立ち上がれなくなってるの、お見通しなんじゃないかな。
無理はするな、という文言に、それを感じながら。
あえてそこには触れず、私は務めて明るい雰囲気をかもし出す、「はーい!」というコミカルな文字付きの、諸手を上げたうさぎスタンプを送った。
お仕事中なのに返信させてすみません!って思いをこめて。
それが既読になったのを確認して、私はスマホをカバンに仕舞った。
「鳥飼さん、なんて?」
私がスマホを手放したのを確認して、そう聞いてくる四季ちゃんに、「無理するなって言われちゃった」って淡く微笑んだら「同感」ってじっと顔を見つめられて。
「凜子ちゃん家に迎えに行くより、門前で凜子ちゃんを待ってた時の方が、ソワソワしてしんどかった!」
って眉根を寄せるの。
私はそんな四季ちゃんの存在が、心の底からありがたいって思った。
最初のコメントを投稿しよう!