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「ね、そういえば誕生日はどうだったの?」
ふと話題を切り替えるようにして投げかけられた言葉に、私はビクッと肩を跳ねさせて瞳を揺らす。
同時に、ほっぺたがぶわりと熱くなったのが自分でも分かった。
四季ちゃんがそんな私を見てクスクス笑って。
「たくさんたくさん幸せにしてもらえたんだね。良かった」
そうして、瞳を細めて吐息を落とすの。
「わっ、私っ、何もっ」
――言ってないよっ!?
そう続けようとしたけれど、目は口ほどに物を言うというやつなのかもしれない。
「今日ひとりで頑張ろうって思ったのって、ひょっとしてその影響もある?」
四季ちゃんに真剣な眼差しで見つめられて、私は小さくうなずいた。
「私、奏芽さんに全部全部もらってもらえたから……もう奪われるモノはないって思えて。それで」
言ったら、四季ちゃんが何かを察したみたいに一瞬だけ瞳を見開いてから「うん、そうだね」ってうなずいてくれた。
「あ、あとね、私。奏芽さんから――」
そこで、首元に手をやってゴソゴソして。
「これ」
そう言って四季ちゃんに手の中のものを差し出した。
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