貴方のものだと思えるから

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「大丈夫……だったんだな?」  今、ここで普通に過ごせているということは、1人でこの町に来ても動けなくなったりしなかったんだな?と言外に含められて、私は抱きしめられたまましっかりとうなずく。  奏芽(かなめ)さんはそれにホッとしたように私を抱く腕を緩めると、 「無茶すんなって言ったのに、凜子(りんこ)のアホ」  ポツンと落とされた言葉に、私は思わず瞳を見開いた。  でも見上げた奏芽さんのお顔はどこか泣きそうな、でも何だか嬉しそうな表情に見えて。  私はそんな彼の頬にそっと触れる。 「はい、奏芽さんのおかげです」  そうして、少しズレたことを言って笑われてしまった。  でも、私をこんな風に強くしてくださったのは紛れもなく奏芽さん(あなた)なんです。  だから、私の中では今こうしてを取り戻せつつあるのは、みんなみんな〝奏芽さんのおかげ〟です。
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