1547人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫……だったんだな?」
今、ここで普通に過ごせているということは、1人でこの町に来ても動けなくなったりしなかったんだな?と言外に含められて、私は抱きしめられたまましっかりとうなずく。
奏芽さんはそれにホッとしたように私を抱く腕を緩めると、
「無茶すんなって言ったのに、凜子のアホ」
ポツンと落とされた言葉に、私は思わず瞳を見開いた。
でも見上げた奏芽さんのお顔はどこか泣きそうな、でも何だか嬉しそうな表情に見えて。
私はそんな彼の頬にそっと触れる。
「はい、奏芽さんのおかげです」
そうして、少しズレたことを言って笑われてしまった。
でも、私をこんな風に強くしてくださったのは紛れもなく奏芽さんなんです。
だから、私の中では今こうして今まで通りを取り戻せつつあるのは、みんなみんな〝奏芽さんのおかげ〟です。
最初のコメントを投稿しよう!