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「なぁ凜子、いい加減覚悟を決めて、俺にすべて任せろって。痛くしないとは言わねぇけどさ。絶対俺は後悔しないし……凜子と気持ちよくなれる自信があるんだよ」
言われた瞬間、恥ずかしいことさらりと言わないで!って思った。
でも、それが彼――鳥飼奏芽という男なんだから仕方がない、とも思ったの。
「年上らしく、初めてのときぐらい優しくしてやるよ、とか言ってくれてもいいじゃないですかっ」
あんまりにも勝手な言い分に、段々腹が立ってきて、キッと睨みつけながらそう言ったらクスクスと笑われた。
「優しくして欲しいなら自分からそう言えよ。こういうときくらい俺、素直な凜子が見てみたいんだけどな?」
言って、いつもしているみたいに、私を引き寄せるようにギュッと髪の毛を引っ張てきて。
彼は髪を引っ張り上げたついでに、過去にたまたま一度だけ外れたことがあるのを除いて――決して意図的に外そうとはしてこなかった、髪ゴムを取ってしまった。
「ほら、おねだりしてみ?」
ほどかれてかき乱されて……顔にかかってきたゆるいウェーブのかかった髪に触れられて。ほどいていいなんてまだ言ってないのに!ってそわそわしたけれど。
考えてみたら、いつだって彼はやると決めたら強引にでもことを進める人だったと思い至った。
そう、初めて出会ったあの日から今日までずっと――。
だから私はこの人に今でも変わらず敵わないし、今でも変わらず振り回されっぱなしなの。
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