Epilogue

3/18
前へ
/615ページ
次へ
***  私と奏芽(かなめ)さんは私が大学4年生の春に、周りから急かされる様に大きなホテルで挙式・披露宴だけ先に済ませた。  私は洋装でも和装でもどちらでもよかったのだけれど、うちの母が和装を見たいとゴネて、奏芽さんは洋装も捨てがたいとおっしゃった。  結果、贅沢にもどちらも着ることになった私は、一着追加するごとに一体どのぐらいの上乗せがあるんだろう?とそればかりが気になって。  奏芽さんのご両親やうちの母から、「こんな時のために親はお金を貯めているのだから気にすることはない」と言い切られてめちゃくちゃ恐縮したのを思い出す。  質素で小ぢんまりとしたお式でいいのに、と半べそをかいた私に、奏芽さんが「一応俺、あの小児科の跡取りだかんな。親の方にも付き合いとか体面とかあんだよ。窮屈だろうけど付き合ってやってくんねぇか?」と(さと)されてハッとした。
/615ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1547人が本棚に入れています
本棚に追加