Epilogue

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 そんな私たち。  結局挙式はうちのお母さんの希望に合わせる形で白無垢(しろむく)を着て、紋付袴(もんつきはかま)奏芽(かなめ)さんと、三三九度(さんさんくど)玉串拝礼 (たまぐしはいれい)などの、まごうことなき神前式になりました。  披露宴入場時は白無垢を赤系の色打掛(いろうちかけ)に掛け替えてから和装のまま、その後のお色直しでやっと。奏芽さん希望の純白のウェディングドレスに着替えることが出来た。  奏芽さんは和装もキリリとしていて文句なしにカッコ良かったけれど、洋装もすごく素敵で。私、式の間中ドキドキさせられっぱなしだった。  ちなみに奏芽さん、日頃白衣で白ばかりだからと、タキシードはダークシルバーを選ばれたんだけど、それが背の高い奏芽さんによく似合っていて本当にカッコよくて。  奏芽さんは緊張しまくりでカチンコチンになっていた私を「すげぇ綺麗だ」ってベタ褒めしてくださったけれど、私にはそんな風に言ってくださる奏芽さんがいつもに増して男前すぎてしんどかったです。  お式には四季(しき)ちゃんと彼氏さん、それから霧島(きりしま)さんご家族や、雨宮(あまみや)さんご夫妻もいらしてくださって。  知らない人たちがたくさんの中に、顔見知りを見つけられてホッとした私だったけれど。  そんな中でも、一番顔が見られて良かったと思えたのは、幼なじみののぶちゃんかも知れない。 「来て……くれたの?」  ひとつひとつの席を回った時に恐る恐る聞いたら、「当たり前だよ?」って優しく微笑まれた。  私がのぶちゃんと同じ立場だったらそんな風に優しく笑って、「当たり前」だって言えるかな?  そう思ったら、胸がギュッと切なくなって。 「ありがとう、のぶちゃん」  目元を潤ませて言ったら、「(りん)ちゃん、泣いたら駄目。お化粧落ちちゃうよ?」って叱ってくれた。  のぶちゃん、本当に有難う。
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