Epilogue

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***  そんな感じで結婚式だけは早々に済ませた私たちだったけれど、入籍は私が大学を卒業した日――22歳の3月25日までしなかったの。  私自身は1日も早く奏芽(かなめ)さんと名実ともに家族になりたかったし、奏芽さんの年齢のことを考えるとそれなりに焦ってしまっていたのだけれど。  出会った頃は33歳だった奏芽さんも、入籍の時には36歳。  四捨五入したらもう四十路(よそじ)になられるんだ、って思ったらその日が来るまで本当にソワソワしてしまった。 「俺は40までに結婚できれば良いと思ってんだよ」  って奏芽さんは笑ったけれど、私は一回り以上も歳の離れた彼をお待たせしているという自覚があるからだろうな。「じゃあ、あと数年は大丈夫ですね」という気にはなれなくて。  大学の方の書類上の手続きさえなかったら、二十歳(はたち)を迎えた2年生の時に籍を入れても良いと思ったくらい。  でも、奏芽さんが、大学に入れてくれたお母(おやご)さんのためにも、〝向井凜子(りんこ)〟として卒業すべきだって仰って。  私が成人を迎えるまで頑なに性交渉を拒まれたのもそうだし、大学卒業時の名前の件にしてもそう。  奏芽(かなめ)さんは私のことを真面目(まじめ)だっておっしゃるけれど、ある意味彼の方がお堅いと感じることも多々あって。  それはやはり年齢の差なのかな?と思う一方で、ある程度は素地みたいなものがあったのかな?とも思ったの。  結局その度に私たちは似たもの同士なんだろうなって痛感させられたのだけれど。
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