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初めてを奏芽さんに捧げて以来、入籍の件を気にしてソワソワしていたら、焦る必要はねぇんだよ、って何度も何度も奏芽さんになだめられた。それでも落ち着かなかった私に、
「だったら絶対俺から離れないって証に次の誕生日には婚約指輪を受け取って欲しい」
って言われて、21歳の誕生日。
春に出会った私たちだからと、ピンクダイヤとダイヤで作られた薄紅の桜の花が、枝に咲き誇るみたいに美しいデザインの婚約指輪を渡された。
奏芽さんが、私の左手薬指にそれをはめてくださいながら、「凜子、もう俺から逃げらんねぇな?」って照れ隠しみたいに笑ったのがすごく印象的だった。
プラチナの台座にキラキラと輝くダイヤモンドがはまった私の手をぎゅっと握りながら、「凜子のこれからの人生、俺にくれるか?」ってじっと見つめられたのを、私は一生忘れません。
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