Epilogue

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*** 「凜子(りんこ)、よく頑張ったな」  奏芽(かなめ)さんにそっと優しく額に張り付いた髪の毛を避けられて、「お疲れ様。ありがとう」と続けられた私は、ホッとして小さく吐息を落とした。  結局「高位破水」から始まった私のお産は、そこから数時間で本格的な陣痛が始まって、そのままお産に移行した。  陣痛が来るまでにあまり時間がかかるようなら陣痛促進剤を使わないといけなくなるかも?と言われていたけれど、お陰様でその心配はなくなって。  2800g台で生まれた私から、4000g近い大きな赤ちゃんが出てきたからかな。  初産で、しかも小柄な私には結構お産が大変に感じられて。  ある程度は覚悟していたつもりだったけど、こんなに痛いの⁉︎って途中で泣きそうになった。  とはいえ、助産師の御神本(みきもと)さんや、産科医の杉本先生に言わせると割と教科書通りなお産だったらしくて。「よかったね、安産だったね」って言われてしまった。  あれで安産だとしたら難産はどんななんだろう!?とか思いつつ。 「赤ちゃん……」  時計を見ると午前8時を少し過ぎたところで。  この病院に奏芽(かなめ)さんと一緒に来たのが昨日の20時過ぎだったことを思うと、12数時間程度の所要時間だったのかな?とぼんやり思う。
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