Epilogue

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「元気な男の子ですよ」  綺麗に(ぬぐ)われてはいるけれど、ところどころまだ血の付いた青紫色の赤ちゃんが、タオルに(くる)まれた状態で御神本(みきもと)さんに抱かれてすぐそばまでやってくる。  その間も、足元の方では先生が私の産後の処置などをしてくださっていて。  私はぼんやりした頭で赤ちゃんの顔を見て、即座に「奏芽(かなめ)さん……?」ってつぶやいてしまった。  びっくりするぐらい奏芽さん似のハンサムな赤ちゃんに、思わず笑みが漏れる。  こんな可愛らしい赤ちゃんが私から産まれて来たの?って思ったらすごく不思議な気持ちがして。 「いや、俺っていうより凜子(りんこ)だろ」  奏芽さんはそうおっしゃるけれど、私には奏芽さんにしか見えません。 「どっちに似てもハンサムさんになりますよ〜」  御神本(みきもと)さんにそう太鼓判を押されて、奏芽さんが「当然だな」ってニヤリとなさった。  お腹にいる時からこの子が男の子なことは分かっていたから、名前は奏芽(かなめ)さんと話し合って既に決めてある。 「初めまして――」  そう言って小さな手に触れたらやんわりと握り返してくれた。  奏芽(かなめ)さんも、彼の妹の音芽(おとめ)さんも、そうして姪っ子の和音(かずね)ちゃんも、みんな音楽にちなんだお名前だとお聞きして。  うちの子もそういうお名前がいいですって奏芽(かなめ)さんに話して。
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