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「その彼がどうしたって?」
だから凜子、何でいちいちうつむいて赤くなる?
ちょいちょい頬を染めてはうつむく凜子に、俺まで何かあてられそうなんだけど。
「その彼……四季ちゃんと……えっと……し、してるって」
「してるって――」
何を?と問おうとして、俺はハッとする。
さっき凜子が「男は定期的に出さないと」と言ったのと、今のセリフが頭ん中で繋がったからだ。
「凜子、もしかして……それって――」
「に、肉体関係の話ですっ」
凜子に言わせたくなくて先手を打とうとしたのに、何故真っ赤な顔をしながら言うんだ。
そう言うのは年長者の俺に任せておけばよくないか?
思ったけれど言っちまったもんは仕方ない。
「ああ、そう……なの」
凜子と片山さんは同級生のはずだ。だとしたら――。
「なぁ凜子。片山さんって浪人とか」
「してません」
ってことはまだギリギリ10代か。
10代に手を出すなよ、ギリギリ20代。
凜子が言いたいことが段々分かってきて、俺はどうしたもんかな……と考える。
「それで……うちは私が二十歳になるまでそういうのはしないことにしてるって話したら――」
あー。最初に戻るわけね。
「奏芽さん……。四季ちゃんが言ったことって……その、本当ですか?」
挑むように俺を見つめてくる眼差しがヤケに痛い。
さっきまで真っ赤になってソワソワしていた女の子はどこへ行ったんだ?
「定期的に出さねぇと、ってやつ?」
ここはもう、俺が開き直るしかねぇよな。
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