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今日の奏芽さんはブルーグリーンのサマーニットに黒のテーパードパンツ。
ニットの下には白いロングTシャツを重ねているのかな? 裾や襟元からちょっぴり覗く白がアクセントになっていて……なんていうかすごくかっこよくて。
シンプルだから余計に奏芽さんの身体のラインに目がいってしまうというか……!
男の人って、こんなに胸板厚いの?とか……本当今考えるべきは、それじゃないのに!
ソワソワと慌てて奏芽さんから視線を外したら、やんわり編んだおさげにそっと触れられた。
「髪も服装もいつもと雰囲気違変えてる?」
目を細めるようにして問いかけられた途端、ぶわりと身体が熱を持ったのが分かった。
「あ、あの……へっ、変っ……です、か?」
消え入りそうな声で恐る恐る聞いたら、「まさか! その逆」って髪の毛に口付けられる。
「かっ、奏芽さんっ」
その様が恥ずかしくて、思わず後ずさろうとしたら、「逃げんな」って手を引かれて。
そのまま間近で見下ろされながら、
「リュックいいな。凜子の両手がフリーになる」
言って、奏芽さんがすごく嬉しそうに笑うから、私まで何だか心が浮き足立ってしまったの。
「今日はさ、街中に出るし、はぐれないように手、繋いで歩くだろ?」
当然のようにそう提案されて、はいともいいえとも返事をしていないのに、「予行練習な?」って、ギュッと私の手を握ったまま、奏芽さんが歩き出した。
私は彼に手を引かれるようにして、斜め後方をついて歩くので精一杯。
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