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「奏芽……さん?」
恐る恐る呼び掛けたら、「ホント、凜子と居ると飽きねぇわ」って、目端に涙を浮かべて今度こそ大笑いするの。
「なっ、何で笑うんですかっ」
私、真剣に話したのに!
あんまりにも奏芽さんが笑うから、段々腹が立ってきて。
繋がれたままの手をギュッと引っ張って睨みつけたら、「俺、凜子のそういうところ、すっげぇ好きだぜ!」って……い、いきなり何なんですかっ。
どんな状況でも、大好きな人からの「好き」には物凄いパンチ力があるんだって思い知らされた。
奏芽さんの言葉に、一気にブワッと耳まで熱くなって、私は慌てて視線をそらす。
「汗とか気にしなくていいから。っていうかそれ、お互い様だろ? けど、そうだな。あんまり気になるようなら……」
そこでポンポンっとご自身の腕を叩く奏芽さんに、私はキョトンとする。
「俺の腕に凜子が腕、絡めてくれるんでも一向に構わねぇよ? ただ――」
そこまで言って、私の耳元に唇を寄せると、低くささやくように「その場合、凜子の胸が俺の腕に当たるけどな?」とか。
「こっ、このままでいいですっ」
私は今度こそ真っ赤になって、そう叫んでいた。
奏芽さんはクスクス笑いながら「俺も凜子が二十歳になるまでは、その方が助かります」って。
どこまで本気なの?
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