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私の携帯番号にしてもそうだけれど、奏芽さんは長い数字の羅列も、基本的に1度見ただけで憶えてしまう。そういうシーンに出会うたび、奏芽さんって本当頭いいんだな。お医者さんしてるのも納得だなって実感してしまうの。
「そういえば頭使うとさ、糖分が必要になるんだってよ」
またしても私の考えを見抜いたみたいに奏芽さんがつぶやいて。
「俺、そのつもりはないけど結構あれこれ考えてんのよ。だからじゃね? 甘いの割と好きだぜ?」
その声に、私は思わず「えっ!?」って声と共に彼の顔を見上げてしまった。
私、考えてたこと、口に出してしまってた?
思ったけど、さすがにそれはない、よね?
「何で分かったの?って顔してるけど……。俺、凜子の思考回路は結構把握してるからな?」
現状で、クスクス笑われてそう付け加えられたら、言葉にしなくても本当に考えがダダ漏れになっているのかも?って思って恥ずかしくなる。
「凜子さ、色々顔に出やすいって言われね?」
不意にあごをすくわれて、奏芽さんの方を向かされた私は、ますます照れてしまう。
奏芽さん、カッコ良すぎて間近で顔を直視するの、私、しんどいんですよぅ……。
思って頬が熱くなったのを感じた私は、慌てて視線を泳がせる。
――と、「凜子、俺の顔好きだろ?」って、またしてもビンゴ。
でも、自信満々に言われたのが何だか悔しくて、簡単には認めたくなくて。その通りです、って言えないの。
「俺さ、凜子の性格も大好きだけど、容姿もすげぇ好き。誰彼構わずこの可愛い子、俺の彼女なんだぜ? いいだろ?って自慢したくなっちまう」
なのに奏芽さんはいともあっさり、私が言えないことを言えちゃうの。
――ズルイ。
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