半分こ

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***  席は結局テラス席しか空いていなくて。  でも日陰だし、店内からのエアコンの冷気のお陰で思ったほど暑くなかったの。  それでも寒がりな私と違って、奏芽さんは暑いと感じてしまうかもしれない。 「凜子(りんこ)、お待たせ」  席の配置の関係で、店内の方へ背中を向ける形になっていた私は、奏芽(かなめ)さんの声に振り向いて、「ごめんなさい、席、外しか空いてなくて」と言ったところで思わず動きを止めた。 「奏芽……さん?」  私たち、2人のはずなのに、彼の手にしたトレイには、クレープが5つ。  それとは別にアイスミルクティーとアイスコーヒーのグラスまで。  思わず席を立ち上がってしまった私に、「落ち着けって」と苦笑して、奏芽さんがトレイをテーブルに載せる。  そうして突っ立ったままの私の手を引いて席に座らせてから、「どれも美味(うま)そうだろ?」って笑うの。 「これが凜子リクエストのチョコバナナで、あとは俺チョイスのアイスの抹茶ソース掛け、クリームチーズとベリー。で、これが期間限定のフローズンヨーグルトとマンゴーで。――あ、これだけは変わり種で甘くないやつ。惣菜系のツナサラダな?」  ちょっと待ってちょっと待って。  後半2つはともかくとして、前半3つは私が食べたいなって迷ってたやつですよ、ね?
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