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席は結局テラス席しか空いていなくて。
でも日陰だし、店内からのエアコンの冷気のお陰で思ったほど暑くなかったの。
それでも寒がりな私と違って、奏芽さんは暑いと感じてしまうかもしれない。
「凜子、お待たせ」
席の配置の関係で、店内の方へ背中を向ける形になっていた私は、奏芽さんの声に振り向いて、「ごめんなさい、席、外しか空いてなくて」と言ったところで思わず動きを止めた。
「奏芽……さん?」
私たち、2人のはずなのに、彼の手にしたトレイには、クレープが5つ。
それとは別にアイスミルクティーとアイスコーヒーのグラスまで。
思わず席を立ち上がってしまった私に、「落ち着けって」と苦笑して、奏芽さんがトレイをテーブルに載せる。
そうして突っ立ったままの私の手を引いて席に座らせてから、「どれも美味そうだろ?」って笑うの。
「これが凜子リクエストのチョコバナナで、あとは俺チョイスのアイスの抹茶ソース掛け、クリームチーズとベリー。で、これが期間限定のフローズンヨーグルトとマンゴーで。――あ、これだけは変わり種で甘くないやつ。惣菜系のツナサラダな?」
ちょっと待ってちょっと待って。
後半2つはともかくとして、前半3つは私が食べたいなって迷ってたやつですよ、ね?
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