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「これって……」
「さすがに俺ひとりで残りの4つ全部は無理だからな? 凜子のチョコバナナも込みでシェア前提でいい?」
とか。
奏芽さん、甘いの平気って言っても、さすがにこれはしんどいんじゃないかなって心配になる。
きっと、最後の惣菜系が奏芽さんの本当の意味での選択なんじゃないかな?とか思ってしまった。
「あの……私……」
私が物欲しそうにあれこれ迷ってしまったから、こんな風に沢山買わせてしまったんじゃないかな。
どうしてもそんな思いが拭えなくて、思わず「ごめんなさい」って言葉が出てしまって。
言った途端、鼻の奥がツンとして、視界がぼんやりと涙の膜で霞んで見えた。
「――俺、さっき言わなかったっけ?」
途端、奏芽さんが私の手をぎゅっと握って、真剣な顔をして見つめてくるの。
私はそれだけでドキドキして思わず目をギュッとつぶってしまった。そのせいで、ポロリと涙が零れ落ちる。
それを人差し指ですくってから、奏芽さんがほんの少し私の方に体を寄せてささやくの。
「凜子に甘いもん食わして、思い切り甘やかしたいって気持ちに変わりはねぇんだけど? なぁ、凜子。クソ真面目なのは凜子の魅力だけどさ、デートの時ぐらい、黙って俺に甘やかされろよ」
な?って声と一緒に「よしよし」って頭を撫でられて、私は照れ臭くて真っ赤になる。
「せっかく買ってきたんだしぃ〜、凜子にもきっちり半分食べてもらわなきゃ〜、アタシ、困るのよぉ?」
奏芽さんが声音を変えていきなりオネェ言葉になって。私はどう反応したらいいのか分からなくて思わず奏芽さんをじっと見つめた。
そのまましばし沈黙――。
「ちょっ、凜子っ! 今の、笑うか引くかするところなんだけどっ?」
私が無表情でじっと見つめてしまったからかな?
奏芽さんがふいっと視線を逸らして、ボソッとつぶやくの。
その横顔、耳が少し赤らんでいる気がして。
もしかして、照れてる?
そう気づいたら何だかホッとしてしまった。
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