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「でも、この状況で何もしてもらえないのは……女性扱いされていないのと同じです……っ」
何事だろうか? 今日はやけに食い下がってくるじゃねぇか。
そこでふと、先程食べたチョコレートに洋酒の風味がしたことを思い出した。
いや、けど一欠片だし……まさかな。
「だからそれも何度も話してんだろ? 大人の男として未成年を抱くとか……俺の中の倫理観に反するんだよ。一応小児科医とかしてるし。――な? 分かれよ」
自分も彼女と同年代ならば、喜んで凜子に手を出していたと思う。
現に俺の初体験は大きな声じゃ言えねぇけど小5のときで、相手はひとつ年上とはいえ、やはり自分と同じ小学生の女の子だったんだ。
「でも四季ちゃんの彼氏さんは……っ」
何だよ、またその話かよ。
片山さんたちがどうあれ、そいつと俺とを比べないでくんね?
そう言おうとしたら――。
「思い切って聞いてみたら……私のこと、ちゃんと女性として見られるって言ってくれました!」
とか。
正直「はぁ? 何だよそれ」って思うだろ?
別に、だからって凜子自身が片山さんの彼氏のことを“男として”魅力的だとか……そんな風に言ったわけじゃない。
それは分かっているけれど……彼女の口から俺以外の男が、凜子のことを“女として”見たとか聞かされたら、さすがにムカつくだろ?
「俺、今日の凜子、嫌い」
本当はそんなこと微塵も思ってないくせに、年甲斐もなく嫉妬して、凜子を傷つけるような言葉を投げかけてしまった。しかも一度唇にのせた言葉は取り消せなくて。まずいと思ってるくせに、更にそこに上塗りするみたいに言わなきゃいい言葉が積み重なるんだ。
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