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帰ったらサッとシャワーを浴びて、髪も遊びに行く用のゆるふわおさげに編み直そう。
服は何着て行こうかな?
久しぶりにのぶちゃんに会うんだもん。
ズボンはやめて、スカートにしなくちゃ。
帰ったらクローゼット引っ掻き回して白のジャンスカと小花柄のブラウスを探そう。
そんなことを思いながら歩いていたら、自然と足取りが軽やかになっていて。
さっきまで鳥飼さんのことでモヤモヤしていたのなんて、スッカリ忘れてしまっていた。
善は急げだ〜。
早く帰らないと。
ルンルン気分で駆け出そうとしたら、いきなり後ろからグイッと髪の毛を引っ張られて、ヒャッとなる。
「痛いっ!」
し、危ないじゃない。
危うくバランスを崩して転んでしまうかと思った。
キッと髪の毛を掴んだ主――鳥飼奏芽を睨みつけたら、「気に入らねぇな」ってつぶやかれた。
いや、だから何が!
「髪、離してくださいっ」
痛いです!
グイッと握られたおさげの根本に手を添えて、痛みを緩和するように庇うと、私より20センチ以上背の高い鳥飼さんを睨みつけながら見上げる。
そうしながらギュッと髪の毛を自分の方に引っ張り返してみたけれど、びくともしなくて。
どれだけ力一杯握ってるのよ、このバカ男!
私、急いで家に帰って、のぶちゃんとお出かけする支度しなきゃいけないのに!
思うけれど正論が通じるようにも思えなくて、言葉に詰まる。
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イラスト/市瀬 雪様
https://estar.jp/users/117421755
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