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「は? 奏芽がここに彼女と? 嘘だろ雨宮」
案の定、俺が、ここへは基本1人でしか訪れないことを知っているハルが、すぐさま食いついてきて。
「奏芽、お前いままで誰と付き合っても〝あまみや〟にだけは連れて行かなかったよな?」
腹が立つぐらい俺のことをよく知っている幼なじみは、そりゃあもう的確に「スルーして欲しいところ」を突いてくる。
いつもなら俺もここまで意図的に彼女ができたことをハルに知られないようにはしないんだけど。
年齢差が年齢差だから、かな。
さすがに今回は何となく言いづらくて、まだ話していなかった。
それに――。
ひとつ話してしまえば何となく隠しておくのが馬鹿らしくなって、気がつけば、俺は今の彼女にはキスまでしかしていないのだと暴露していた。
当然ハルは目をまん丸にして驚いて。
「ちょっと待て。付き合い始めて1ヶ月以上経ってるのにお前がまだ手ぇ、出してないとか……嘘だろっ?」
と、予想通りの反応をくれた。
「いや、だから……。相手、未成年だし」
言ったら、ますます意外そうな顔をしやがる。
「けどお前、初体験小学生の頃だろ? 相手、同級生じゃなかったか?」
今更未成年云々を気にするの、おかしいだろと言われてしまった。
「いや、そん時は俺も未成年だろ。俺だけ成人してる今とはわけが違うわ」
言ったら「バッ、奏芽っ。マジか!」と絶句されてしまった。
だから本気なんだって。
小児科医なんて職業柄かも知んねぇし、あるいは相手が〝凜子だから〟なのかも知れない。
自分でもよく分かんねぇけど……凜子に対してだけは、今までとは何もかも勝手が違うんだよ。
うまく言えねぇけど――。
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