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「わ、私なんかに構ってる暇があったら、鳥飼さんもご自分の大切な人のところへ向かわれたらどうですか!?」
私と同じくらいの身長の、鈍感さんのところ!
心の中でそう付け加えて、もう一度おさげを取り戻そうと引っ張る。
でもやっぱり鳥飼さんはそれを許してくれなくて。
一体何を考えてるの!?
「さっきの電話、誰? 鳥飼さんも、ってことは……相手、向井ちゃんにとって大事なやつって意味だよな?」
明らかにいつものおちゃらけた感じとは違う、抑えた声音に、私は図らずビクッとなる。
元々低音な鳥飼さんの声は、こんな風に低められると背筋を冷たく撫でるようで、妙に私の心をざわつかせた。
な、何でそんなこと気にするの?
鳥飼さんには関係ないじゃないっ!
心の中ではそんな言葉が去来するのに、声に出せなくて。
「お、幼なじみ……です」
半ば彼の迫力に押されるようにそう答えたら、「男の、だろ」って静かな声音で告げられて。
「だっ、だったら何だっていうんですか? さっきから鳥飼さん、意味分かんないですっ!」
せっかく気持ちが上向きかけていたのに、何でまたそんな風にかき回すの?
混乱のあまり涙目になって長身の彼を見上げたら、「思ってた通り泣き顔もそそるな」って……。
感覚ズレすぎてて私には理解不能です!
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