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「で、何? お前も散髪か?」
凜子同様、ブルネットに近い髪の毛をおさげ髪に結わえている音芽を見つめて問いかければ、「あー、うん。私も凜子さん絡み」と言って笑うんだ。
「は?」
意味分かんねぇんだけど?
思いながら音芽を見つめたら、「ほら、だって……おさげは彼女の方が似合うから……私は撤退」とか。
確か温和は音芽のロング、結構気に入ってなかったか?
思って「ハルは納得してんのか?」って聞いたらふいっと視線を逸らされた。
「――オイ」
まさか事後報告にしようってんじゃ……と言おうとして、俺はハッとして口をつぐんだ。
それは俺も一緒か。
「ハルには何て言って出てきた?」
聞いたら、「ちょっと用があるからって」と、これまた俺と一緒とか。
つくづく俺たちは血の繋がった兄妹なのだと実感させられた。
「でも、前にちょっとだけそれっぽい話はしてあるし。切って帰っても納得はしてくれると思う」
しかし、そんな曖昧な理由でよくあの温和が音芽をひとりにしてくれたもんだ、とも思っちまって。
前に話したというのが、余程ハルの心に刺さったってことか?
今度ハルに聞いてみよう、何言われたのか。
「あ、それにね、和音が。あの子が助け舟出してくれたから」
俺の疑問を察したように、音芽がペロリと舌を出す。
ああ、アイツが音芽の味方についたなら、ハルは敵わねぇか。
何となくだけど、霧島家では和音が一番強いんじゃないかと思ったりして。
誰に似たんだか、和音のやつ、妙にませたところ、あるからな。
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