スタ特⑥『中身は変わったりしないだろ?』

4/6

1544人が本棚に入れています
本棚に追加
/615ページ
*** 「で、何? お前も散髪か?」  凜子(りんこ)同様、ブルネットに近い髪の毛をおさげ髪に()わえている音芽(おとめ)を見つめて問いかければ、「あー、うん。私も凜子さん絡み」と言って笑うんだ。 「は?」  意味分かんねぇんだけど?  思いながら音芽を見つめたら、「ほら、だって……おさげは彼女の方が似合うから……私は撤退」とか。  確か温和(ハル)は音芽のロング(これ)、結構気に入ってなかったか?  思って「ハルは納得してんのか?」って聞いたらふいっと視線を逸らされた。 「――オイ」  まさか事後報告にしようってんじゃ……と言おうとして、俺はハッとして口をつぐんだ。  それは俺も一緒か。 「ハルには何て言って出てきた?」  聞いたら、「ちょっと用があるからって」と、これまた俺と一緒とか。  つくづく俺たちは血の繋がった兄妹(きょうだい)なのだと実感させられた。 「でも、前にちょっとだけそれっぽい話はしてあるし。切って帰っても納得はしてくれると思う」  しかし、そんな曖昧な理由でよくあの温和(はるまさ)音芽(コイツ)をひとりにしてくれたもんだ、とも思っちまって。  前に話したというのが、余程ハルの心に刺さったってことか?  今度ハルに聞いてみよう、何言われたのか。 「あ、それにね、和音(かずね)が。あの子が助け舟出してくれたから」  俺の疑問を察したように、音芽(おとめ)がペロリと舌を出す。  ああ、アイツが音芽(ははおや)味方(がわ)についたなら、ハルは敵わねぇか。  何となくだけど、霧島(きりしま)家では和音が一番強いんじゃないかと思ったりして。  、和音のやつ、妙にませたところ、あるからな。
/615ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1544人が本棚に入れています
本棚に追加