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前に温和が音芽の不在時に俺を頼ってきたことがある。
今日はその逆バージョン。
凜子が片山さんと夕飯を、って言うから、渋る温和を――音芽にも根回し済みで――無理矢理夕飯に付き合わせた。
凜子を迎えに行かなきゃなんねぇから酒はなしだ。
酒なしなのもあって、今日は「あまみや」ではなく別の個室つき小料理屋へ浮気。
何となくハルに聞きたい内容が〝あれ〟だったんで、雨宮には聞かれたくなかったのもあるっちゅーか。
アイツやたら揶揄ってくるしな。
***
「なぁハル。お前さ、風呂上がり、音芽にどんな格好して出てきて欲しい?」
先日凜子と初めてのアレコレを経験したわけだけど……あのとき、風呂へ行く前、凜子は俺にモノ問いたげな眼差しを投げかけてきたんだ。
勘違いでなければ、あれはきっと「どういう格好で出てきたらいいですか?」って聞きたかったんじゃないだろうか。
彼女が脱衣所に消えた後でそう思い至った俺だったけれど、じゃあ、と考えたら結構悩ましい問題で。
同い年の温和は何と答えるだろう?と思ったんだ。
「は? お前、それ……普段の話じゃねぇよな?」
「ったりめぇだ、馬鹿」
ふとそこで過日の、ホテルでの凜子の風呂上がりの婀娜っぽい姿を思い出した俺は、思わず下が反応しそうになって慌てて別のことを考えた。
アレはやばかった。
いや、マジで。
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