スタ特⑦『大事なのは●●●だろ?』

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 前に温和(はるまさ)音芽(おとめ)の不在時に俺を頼ってきたことがある。  今日はその逆バージョン。  凜子(りんこ)が片山さんと夕飯を、って言うから、渋る温和(ハル)を――音芽(よめ)にも根回し済みで――無理矢理夕飯(メシ)に付き合わせた。  凜子を迎えに行かなきゃなんねぇから酒はなしだ。  酒なしなの(それ)もあって、今日は「あまみや」ではなく別の個室つき小料理屋へ浮気。  何となくハルに聞きたい内容が〝あれ〟だったんで、雨宮(あまみや)には聞かれたくなかったのもあるっちゅーか。  アイツやたら揶揄(からか)ってくるしな。 *** 「なぁハル。お前さ、風呂上がり、音芽(おとめ)にどんな格好して出てきて欲しい?」  先日凜子(りんこ)と初めてのアレコレを経験したわけだけど……あのとき、風呂へ行く前、凜子は俺にモノ問いたげな眼差しを投げかけてきたんだ。  勘違いでなければ、あれはきっと「どういう格好で出てきたらいいですか?」って聞きたかったんじゃないだろうか。  彼女が脱衣所に消えた後でそう思い至った俺だったけれど、じゃあ、と考えたら結構悩ましい問題で。  同い年の温和(はるまさ)は何と答えるだろう?と思ったんだ。 「は? お前、それ……普段の話じゃねぇよな?」 「ったりめぇだ、馬鹿」  ふとそこで過日の、ホテルでの凜子の風呂上がりの婀娜(あだ)っぽい姿を思い出した俺は、思わず下が反応しそうになって慌てて別のことを考えた。  アレはやばかった。  いや、マジで。
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