スタ特⑧『あれからのふたり』

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*** 「ベッドで待ってて?」  髪を乾かし終えた奏芽(かなめ)さんから、そんな風に言われて、私は小さくコクンとうなずく。  一緒に入るのを拒んだのだから、奏芽さんはまだお風呂を済まされていない。  いつもの流れだから私もそれは心得ていて、脱衣所から顔を覗かせる前に歯磨きももう済ませてある。  今日はレポートの課題なども空き時間を利用して早めに終わらせておいた。  あとはだけ――。  とはいえ。  まだ22時。  寝てしまうには早すぎる時間なのは、奏芽さんにも分かっているはず。  私、今夜も奏芽さんに……。  そんなことを考えてぶわりと顔が熱くなる。  腕にはめていた髪ゴムで、ゆるっと髪の毛をひとつに編み上げて、奏芽さんが私の髪を気にせずにいられるように準備をして。  いつの間にかそんな身支度を自然体で済ませられるほど、私、奏芽さんに抱かれ慣れた女の子になっていた。  こんな風にして少しずつ変化していくものがあって。  それを心地いいと思えていることが、すごく幸せだなって思った。         END(2021/02/06)
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