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「ベッドで待ってて?」
髪を乾かし終えた奏芽さんから、そんな風に言われて、私は小さくコクンとうなずく。
一緒に入るのを拒んだのだから、奏芽さんはまだお風呂を済まされていない。
いつもの流れだから私もそれは心得ていて、脱衣所から顔を覗かせる前に歯磨きももう済ませてある。
今日はレポートの課題なども空き時間を利用して早めに終わらせておいた。
あとは眠るだけ――。
とはいえ。
まだ22時。
寝てしまうには早すぎる時間なのは、奏芽さんにも分かっているはず。
私、今夜も奏芽さんに……。
そんなことを考えてぶわりと顔が熱くなる。
腕にはめていた髪ゴムで、ゆるっと髪の毛をひとつに編み上げて、奏芽さんが私の髪を気にせずにいられるように準備をして。
いつの間にかそんな身支度を自然体で済ませられるほど、私、奏芽さんに抱かれ慣れた女の子になっていた。
こんな風にして少しずつ変化していくものがあって。
それを心地いいと思えていることが、すごく幸せだなって思った。
END(2021/02/06)
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