■ひとりで気負い過ぎんなよ(オマケ的短編)

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***  ベビーベッドで拓斗(タクト)の服を脱がせて、寒くないように脱がせた産着(うぶぎ)でやんわりと包みこんでから、頭を支えてそっと抱き上げる。  拓斗(タクト)の、奏芽(かなめ)さんによく似たハンサムなお顔を見るにつけ、この子は紛れもなく私と奏芽さん子供なんだと実感して。  奏芽さん譲りの切れ長のキリリとした目でじっと見上げられた私は、何をひとりで全部やらなきゃって思っていたんだろうって可笑しくなった。 「凜子(りんこ)、なに笑ってんの?」  拓斗(タクト)を胸に抱いて、思わず口元をほころばせていたら、こちらへやって来た奏芽さんにキョトンとされてしまった。 「私、奏芽さんと結婚して本当に幸せだなって実感していました……」  こんな可愛い赤ちゃんを授かれたことも、奏芽さんが夫としても父親としても申し分のない最高の人だと日々嫌と言うほど思い知らされてしまうことも――。  全てがすごくすごく幸せで、泣きそうになるぐらい愛おしい。 「俺も2人を前にするたび骨身に沁みまくってるよ。俺はなんて幸せ者なんだろう、ってな」  拓斗(タクト)を抱いた私ごとふんわりと柔らかく抱きしめてくださる奏芽さんの大きな腕の中、この人となら拓斗(この子)をちゃんと育てていける。  そう思った――。      END(2021/03/21-3/23)
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