■邪魔してごめんなさい/気まぐれ書き下ろし短編

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 奏芽(かなめ)さんが、仕事上の関係でどうしても外せない寄り合いがあるとかで不在の夜。  私は四季(しき)ちゃんとふたり、二十歳(はたち)になって初めて。女子会と称した居酒屋デビューを果たした。  アルコール低めの青リンゴサワー酎ハイを1杯だけ飲んで、美味しいだし巻き卵や、焼き鳥、軟骨の唐揚げや揚げ出し豆腐などを四季(しき)ちゃんとシェアして食べた。  本当は奏芽さんが帰っていらっしゃるまで一緒にいられたらよかったのだけれど、四季ちゃんは四季ちゃんで彼氏さんが仕事終わりにアパートにいらっしゃる予定になっていて、21時半には解散してマンションに帰宅した。  奏芽さんには、彼が出かけている間、四季ちゃんと過ごす旨は伝えてあったけれど、そんなに早くお開きになるとは言えていなくて。 「ちょっぴり羽目、外しすぎちゃったかな……」  そんなにたくさんお酒を飲んだつもりはないけれど、ふわふわとした浮遊感が全身を包み込んでいる。  奏芽さんも今頃どこかで飲んでいらっしゃるかしらという変な連帯感が、いつもはキツく縛られている私の心のタガを緩めてしまったらしい。 「お酒、甘くて美味しかったなぁ……」  ポツンとつぶやいて、ソファにストンと腰を落とす。
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