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本当は寂しくて堪らないし、ちょっぴり怖い。
本音を言えば、今すぐにもでも奏芽さんに帰ってきてくださいって言っちゃいたい。
だけど、そんなワガママは言っちゃいけないって、私ちゃんと分かってる。
「テレビ観たりしてるので平気です。私のことは気にせず、奏芽さんは久しぶりの外食、楽しんでください!」
心裏腹なセリフだけど、案外さらさらと言えたのは、胸元のネックレスを握っていたお陰かな?
『バーカ。凜子と一緒じゃねぇ食事会なんざ、何食っても全然美味くねぇよ』
奏芽さんが吐息を落とすようにそうつぶやいたのと、『奏芽』と彼のお父様が彼を呼ぶ声とが重なって聞こえてきて。
「ほら、ワガママ言ってないで早く戻られないと皆さんが心配なさいますよ?」
私は彼の背中を押すように、心にもない言葉を紡いだ。
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