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右側も左同様ゆるっと編んで、新しいヘアゴムで留めてから、鏡で左右のバランスを確認した。
お風呂上がりでほんのり蒸気した頬に、学校やバイトの時とは敢えて編み方のアレンジを変えたおさげ。
お化粧はまだしたことがないから、これが今の私に出来る精一杯のお洒落だなんて言ったら、同年代の女の子たちからは笑われてしまうかな。
でもきっと、地味子の私にはこのぐらいが似合っている。
緒方さんや河野さんは素地がいいとベタ褒めしてくれたけれど、そんなの今まで言われたこともない。
何より大好きな人から異性として見てもらえないなら、もしそれが真実だとしても意味なんてないと思うの。
はあ、っと何度目になるか分からない溜め息をつくと、私は頬をペチペチッと叩いて気合を入れた。
ダメダメ。
元気出せ凜子!
溜め息なんてついてる暇があったら、のぶちゃんに何を聞くかしっかり考えておかないと。
妹くらいにしか思われていないのに、この上相談したいことがあるっていうのが、嘘だったなんてバレたりしたら、目も当てられないもの。
黒いリュックの中に勉強道具を入れながら、気持ちを一生懸命切り替える。
そうしないと、ふとした時に鳥飼さんのあの怖い顔が思い浮かんできて、ゾクッとしてしまうの。
私、別に鳥飼さんとお付き合いしているわけでも何でもないのに、何でこんなにのぶちゃんと出かけることに罪悪感みたいなのを植え付けられてるんだろ。
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