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夢の中なのにその息遣いや温もり、そうして柑橘系の香りがとってもリアルで。
眠りに落ちるとき、奏芽さんのパーカーにくるまっていたからかな?と、夢と現の境目でぼんやり思う。
と、身体がひんやりしたマットレスの上に載せられた感触がして、その冷たさに「ひゃんっ」と思わず眉根を寄せて。
温もりを求めるみたいに奏芽さんを探して手が空中を彷徨った。
その手を不意にギュッと握られて、ベッドに縫いとめるように押し付けられてから、
「凜子、いつまでも寝ぼけてっと、このまま襲っちまうぞ?」
と耳元でささやかれる。
吐息が耳朶をくすぐる感触がくすぐったくて首をすくませながら、「……だって、寂しかったんだもん」と唇を尖らせてみる。
夢の中でぐらい本音を漏らしてワガママを言っても……許されるよね?
私、今日はすっごく頑張ったもの。
特にさっきの電話。
よく、「寂しい。早く帰ってきてください」って言わずにいられたねって自分で自分を褒めてあげたい。
そう思ったんだけど。
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