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「ひとりにしてすまなかったな。――けどな、凜子。俺もすっげぇ寂しかったんだぜ?」
そんな声とともに、唇に温かな感触が押し当てられて。
唇を割るように熱い舌が入り込んできた瞬間。
(――わっ、今日の奏芽さん、何だかお酒くさいっ!?)
そう思ってから、私はハッとして瞳を見開いた。
「かっ、奏芽さんっ!?」
一気に目が覚めて、これは現実だと思い知った私は、夢だと思ってこぼしたアレコレが無性に恥ずかしくなった。
「ごめ、なさっ。私……夢だとばかりっ」
ソワソワしながら瞳をそらせたら、「けど、言った言葉は全部凜子の本心だろ?」って鼻先をちょんちょんとつつかれる。
図星だったから何も言い返せなくて言葉に詰まる私を満足そうにギュッと抱きしめて、「俺も寂しかったから……親父に無理言って抜けてきちまった」ってくすくす破顔うの。
「ぬ、抜けっ!?」
そのセリフに思わず奏芽さんの方を見て瞳を見開いた私に、「構やしねぇよ。途中まではちゃんと付き合ったんだし」とか。
奏芽さんっ、それ、ダメなんじゃ?
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