1545人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日、急に僕に連絡してきたのは何で? 凜ちゃんから連絡がない限り、僕からはするつもりなんてなかったのに……」
そこまで言って、私の頬にそっと触れると、
「勉強のことで相談があるなんて……嘘、だよね?」
って言って、淡く微笑むの。
正直、ドキッとした。
見透かされてる、って思った。
私が鳥飼さんから逃げたくて咄嗟についた嘘。
のぶちゃんを利用するみたいに、用もないのに電話をかけてしまったのを誤魔化すためにでっち上げた、突然の連絡の理由。
それを咎められているようで――。
「ご、ごめんなさい……」
まさか気付かれていたなんて思わなかった。
なのに、分かっていても尚、こうして時間を作ってくれたのぶちゃんに申し訳なくてたまらなくなる。
「ごめんなさい、は嘘をついたって認めるって意味で合ってる?」
のぶちゃんにジッと見つめられて、私は小さくうなずこうとして、のぶちゃんがあごに手を掛けたままなのに気づいて「……はい」ってつぶやく。
「そっか……。ねぇ凜ちゃん、僕は……それを少しは脈があるかもって期待してしまってもいいんだろうか?」
言われて、物凄く戸惑ってしまう。
脈?
それって……。
のぶちゃんの顔がグッと近付いてきて、キスされてしまう、ってギュッと身体を固くしたら――。
***
「なぁ、取り込み中のところ悪いんだけど……さっき外しちまったゴム、いま返していいよな?」
不意に、すぐそばから低音の威圧的な声が降ってきて、同時にのぶちゃんから引き離すように腕を引っ張られた。
最初のコメントを投稿しよう!