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あれから数日、鳥飼さんに会わない日が続いて、ある意味平和だった。
実は私が学校の授業の関係で1週間ほどバイトのシフトから抜いてもらっていただけなんだけど、気分的にもちょうどよかったって思ったの。
何となく気まずくて鳥飼さんの顔、みたくなかったんだもん。
気まずい、といえばのぶちゃんとも話が中途半端なままで頓挫してしまった。
車内でもずっと無言で……のぶちゃん、何か思い悩んでいる風だった。
私は私で一気に色々ありすぎて頭がパンクしそうで。
あれ以上何があるわけでもなくアパート前まで送ってもらって、別れ際にのぶちゃんが「また連絡するね」って言ってくれたのに無言でうなずいただけ。
まだ1週間も経っていないのだから問題ないのかもしれないけれど、今のところ連絡は来ていない。
でも……のぶちゃんから連絡がきて……あの話の続きを、ってなったら私、なんて応えたらいいんだろう。
あの時もしも鳥飼さんの邪魔が入らなかったら……私はのぶちゃんとキス……とかしちゃっていたの、かな。
それとも寸前で「待って!」って言ってしまってた?
何となく後者な気がして、あんなに大好きだったはずなのに何で?って戸惑って。
少し前の私なら舞い上がるぐらい嬉しかったはずなのに、悲しいくらいモヤモヤと心が晴れなくて、憂鬱な気分で。
これというのもあの男――鳥飼奏芽――が私の生活を引っ掻き回したからに違いない。
妻帯者――というかあんなに可愛いお嬢さんまでいるくせに。
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