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言って、当たり前のように私の横に腰掛ける奏芽さんに、私はドキッとしてしまう。
思わず条件反射で立ち上がったら、膝に載せていたお弁当が地面に落っこちてしまった。
「あっ」
って叫んだ時には遅くて……。
中身、全部地面にこぼれてしまっていた。
慌てて拾ってみたけど砂とか沢山付いていて食べられそうになくて。
私のお昼ご飯……。
しゅん、としていたら奏芽さんが買ってきたばかりのハンバーガーセットを目の前に突き出してきた。
「これ。びっくりさせたお詫び、な?」
言って、お弁当の残骸の前にしゃがみ込んだ私の頭をクシャリと撫でると、「そんな落ち込むなって」とヨシヨシしてくれる。
いつもなら「やめて!」って跳ね除けるところなのに、ショックで凹んでいたからかな。
そんな気にもなれなくて……そのまま彼に頭を撫でられる。
「なあ、代わりに俺、こっちもらっていい?」
奏芽さんが地面に落っこちた泥まみれのおにぎりなどを、お弁当箱の中に納めて風呂敷で包み直す。
「え、でも……」
そんな泥だらけの食べられないのにどうするの? そう思って戸惑いながら奏芽さんの手から包みを取ろうとしたら、「弁当箱はすぐ返すから」って引っ込められてしまった。
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