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「じゃ、あの……和音ちゃんは……その……奏芽さんの姪っ子さんってこと、ですか?」
改めて聞くまでもなく、妹さんのお嬢さんってことはそうなんだけど……彼の口からハッキリ聞きたいって思ってしまったの。
あれは俺の娘じゃない、姪だよ、と。
「ああ、そう姪っ子。幼なじみと妹が一緒になってさ。まぁ俺も仕事柄和音のことは生まれた時から診てる感じだから……そうだな。娘って感覚、ないわけでもねぇわ」
あの日は妹さんと幼なじみさんが月に1度のデートの日だったとかで、和音ちゃんを奏芽さんが預かっていたんだとか。
お寿司が食べたいという姪っ子さんを連れて回転寿司店に来て、たまたま私たちを見つけたらしい。
「結婚して8年も経つっちゅーのにさ、腹立つくらいラブラブなんだわ、妹とハル」
そうつぶやいた奏芽さんは、とても優しい顔をしていた。
ハルさんと言うのが幼なじみさんの名前……かな。
「凜子見てると、その……妹と重なるところがあってさ……。何か放っておけなかったっちゅーか」
言って、私がいまだにハンバーガーを手にしたままなのを見て「食えよ?」と念押ししてくる。「早く食わねぇと口移しで食わせるぞ?」って。
奏芽さんならやりかねないと思って、私は慌てて「いただきます」をしてハンバーガーにかぶりついた。
厚みがありすぎて少し食べにくい。
奏芽さんなら難なく食べられちゃうのかな?
思って奏芽さんの方を見たら「ん? 飲み物か?」って聞かれてストローを刺したドリンクを差し出された。
ハンバーガーを手にしたままドリンクの容器を持てなくて戸惑っていたら、口元にそれが持ち上がって、ストローが咥えられそうな位置にくる。
あ、これって……と戸惑っていたら「飲めよ」って口に近づけられて。
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