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契約カップル
「大学行ってる間だけでいいから付き合って。紗々もフリーでウチもフリー。ちょうどいいでしょ。」
音々がそう言ってきたのは大学二年生の春。染めたての長い茶髪が春風に舞っていた。気の強い視線が僕を捉える。思いのほか真剣な瞳の色に僕はちょっとたじろいだ。でもすぐにオーケーしていた。
僕と彼女が所属している軽音サークルは、ちょうどその頃カップルの波が来ていた。右も左もイチャコラランド。口を開いた同級生は十中八九、惚気話。僕は気にしていなかったが、音々は気にしていたのだろう。
女子と男子じゃ、神経の使い方が違う、きっと。
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