真実

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自宅につくと、拓海は何も言わず、温かなお茶を淹れてくれた。 ズズッと飲むと、緑茶の温かさと香りで、頭が徐々にスッキリする。 「…」 何も言わない拓海。 ただ、包むように彩音を見つめる。 「拓海、ごめん… どんでもないこと、するところだった…」 ポロっと涙がこぼれる。 拓海は小さく息を吐くと、彩音の手を握った。 「俺も、ごめん」 「…」 「嘘なんだ」 「………え?」 「俺は、浮気なんか、一度もしてない」 「…え…?」 聞こえているのに、にわかには内容が入ってこない。 「彩音は若いから… ずっと俺に夢中でいて欲しくて… 俺のことだけ、考えてほしくて… ヤキモチ焼くのも、すごく可愛くて、何回でも、妬かせたくて…」 「…嘘…?」 彩音は目を見開く。 「全部、嘘。ごめん…」 聞くと、『派手目な女性』の影は、全部拓海の自作自演の仕込みだったらしい。 彩音が飛び出してから、焦って当てもなく方々探して走っていたら、昨日見かけた男ーー想馬に偶然会った。 昨日のことを聞き出し、彩音の浮気疑惑は晴れたらしい。 それから想馬も一緒に彩音を探してくれたそうだ。 「バカ…」 彩音は泣きながら拓海を見つめた。 「…彩音だけ、愛してる…もう二度と、嘘はつかない」 「うん… 私も…やけになって、…ごめんなさい」 2人は笑い合って、席を立つと、抱きしめ合った。 「愛してる」 「私も、愛してる…」 ゆっくり口づけを交わすと、拓海が真っ赤になっていた。 「…?」 「なんか…彩音じゃないみたいで…」 彩音は自分を見下ろした。派手派手だ。 「あ、すぐ着替え…」 拓海が彩音をふわりと捕まえる。 「俺が…脱がす。 たまにはドレスもいいな」 「あ、拓海、ビーフシチューが出来てる…」 「今はこっち」 拓海は、彩音の頬に優しく手を添えると、ゆっくりと唇を重ねる。 「ん…」 暖かなキスに、心配事も、間違いも、迷いも、すべて溶けていくようで。 彩音も拓海の背中に手を回して、心からのキスを拓海に届けたのだった。 【終わり】

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