雨女の涙雨

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 その対策を講じるべく集会が開かれ、村民の男たちは話し合ったが、下手の考え休むに似たり将又屋上屋を架すで不可抗力だのお手上げだのと言うばかり。全く時間の無駄だった。その間にも雨は容赦なく降り続けた。  皆はどうしようどうしようと言って困り果て途方に暮れた時、鶴の一声とばかりに長老の村長が言った。 「雨女の仕業じゃ!」  皆は一斉にどよめいた。 「この中に雨女と結婚した者がおるんじゃないのか!」  村長の言葉に対し皆は隣の者と顔を見合わし、ざわざわと騒いだ。 「雨女を泣かせると、その涙が涙雨となって雨が降ることになるのじゃ!じゃから上さんを常時、泣かしておる者がおるのならその者の上さんが雨女と言うことになる!」  村長の言葉に対し再び皆が隣の者と顔を見合わし、ざわざわと騒ぐ中、建造は俺の家の事だ、それでこんなことに・・・と悟った。 「ま、この場では名乗ることが出来んのはしょうがないが、心当たりがある者は今日から心を改めて上さんに優しくすることじゃな!」  村長の言葉に対し皆がシーンとする中、建造は仕方ねえ、嫁に当たるのは止めようと思った。
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