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 愛したいか、それとも愛されたいか、ね。……そうね、昔はただ愛されたかった。愛されるためなら、どんなことでもした。  お金をくれと言われたら渡したし、ブランドもののバッグが欲しいって言われたら、がんばってお金を貯めて、プレゼントしてあげた。物をあげるたびに、笑顔で「ありがとう」って言われて、それがうれしくて、どんな辛いことでも頑張った。  当時のわたしは、それで愛されてるって思ってたのよ。ほんとバカな女よね。ただ物でつなぎ止められた、希薄な愛なのに。いいえ。それは愛なんて呼べないわね。彼らからしたら、わたしは生きた財布のようなものだったでしょうね。一方通行の想いは、愛じゃないのよ。  ふふっ。なんであなたがそんな辛い顔をしてるのよ。全部、昔の話よ。  今は違うのかって? 根本的な考えは変わらないけれど、今度は物じゃなくて、わたし自身の愛情を彼にあげたいって思ってるわ。  今の彼は、わたしの生き方を否定しないの。ありのままのわたしを、受け入れてくれる。でも、なんでも許してくれるわけじゃない。間違ってることは、ちゃんと怒ってくれる。わたしの話を聞いて、なにがダメなのかをちゃんと説明してくれる。これって、幸せなことよね。だって、わたしのためを想って、言ってくれるんだもの。今まで、わたしのことをそんな気にかけてくれるような人なんて、いなかったから。
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