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──チュンチュン。
明るい日射しが、窓から部屋を照らしている。
んー、もう朝かぁ。
ベッドの上で、ゆっくり伸びをする。
あれ。
そういえば、私いつの間に寝たんだっけ?
そもそも、昨日は……。
!!
そこまで考えて、飛び起きる。
何か超絶イケメンに、血を吸われた?ような……。
って、いやいや。
現実にそんなことあるわけない。
じゃあ…どこからが現実で、どこからが……夢?
っていうか、もしかしたら…私の妄想?
キスはおろか、手を繋ぐことさえしたことないのに。
あ、あんな………。
かぁっと熱が頬に集まってくる。
ううう、思い出して顔を赤くするなんて。
バカなの。私。
はぁ。…何だか情けない。
とりあえずベッドから降りて。
顔を洗って、スッキリしよう。
心なしかふらつく身体で、トントンと階段を下りていく。
廊下に出て、ふと玄関を見ると。
特にいつもと変わらないように見える。
血が落ちてたり、争った様子も窺(うかが)えない。
「はぁー。もー。」
やっぱり夢だよね……。
洗面台とお風呂のあるドアを開けて、のそのそと蛇口を捻った。
冷たい水を勢いよく顔にあてる。
何度か繰り返すと、ようやく頭もスッキリ冴え渡ってきた。
「ふぅー。」
横にかけてある、ふかふかのタオルで顔を拭いて。
前髪を整えるために鏡台へ向き直ると。
「ん?」
ふわふわした髪の毛の間から見えた首もとに、何やら見慣れない傷を見つけた。
いつの間についたのかな。
全然気が付かなかった…。
しっかり見ようと、首にかかった髪をかきあげる。
「……え?」
そこには、牙で噛まれたかのような傷がはっきりと残っていた。
そっと指でなぞると、ピリッと痛みが走る。
ど、どういうこと?
夢じゃなかった、の?
…また分けが分からなくなってきた……。
こめかみを指でぎゅっと押さえて、唸ってみても。
あの男の人に話を聞かなければ、詳しいことは分からないだろう。
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