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「しかし、驚いた。こんなに美味い血に出逢えるとはな。」
「……。」
「……年甲斐もなく、欲が出てしまった。」
「欲…ですか?」
「あぁ。…またお前の血が欲しい。」
「………っ。」
──ドキン。
真剣な瞳でそんなこと言われると。
愛の告白をされたわけじゃないのに。
心臓が、勝手に勘違いしたかのよう。
私のことなんてお構い無しに、ドキドキと騒ぎ出す。
いやいや、落ち着こう。
この人…じゃなくて、この吸血鬼が欲しいのは『食事』だから。
別に私自身が欲しいわけじゃないからね。
…うん。
「……どうだ?」
返事を促されて、ハッと我に返る。
ふと隣を見ると、犬なら耳とペタンと下げて、くぅ~ん。と言ってるような。
そんな姿で。
返事なんて、決めて無かったのにさ。ついつい。
「分かりました。」
って答えてた。
「おぉ、助かる!」
しっぽがあれば、ブンブン振り回しているだろうなぁって思うくらいの笑顔を見せて。
しっかりと握手されたのだった。
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