奇妙な生活

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 それから。  彼との共同生活が始まった。  名前は、カイン。  年は500歳くらい?だそうだ。  色んな所をさ迷いながら、生きてきたらしい。  普段は、人間と同じ食事をとる。  ただ、吸血鬼にとっての栄養は無いので、食事とは別で血が必要らしい。  あと、血を吸う時に牙を刺すと、痛みを和らげるために媚薬のような成分を出すらしい。  …私が熱っぽくなったのは、そのせいなんだって。  カインは穏やかで優しい性格みたいで、一緒に居ても不安や恐怖は無かった。  スキンシップが結構激しいから、あんまり触っちゃダメって言うんだけど。   ぬいぐるみでもあやしてる感じなのかな。  止めてくれないから、それは困ってる。  でも…。 「カイン、ただいまー。」 「お帰り、ひなこ。」  いつも学校帰り、玄関で迎えてくれる人がいるのは。  何だか安心するし、嬉しい気持ちになる。  すぐぎゅっとして、頭ナデナデされるのは。  ほんと恥ずかしいんだけど。 「ん、ひなこ、甘い香りがするな。」 「あー、調理実習で今日はお菓子作ったから。」 「後で食べてもいいか?」 「うん、もちろん。」 「楽しみだな。」  私の作った物を、彼は喜んで食べてくれる。  美味しいよ。って笑顔で…。  その時間が、私はとても好きで。  いつまでも続けばいいのになって。  心から思うようになっていったんだ…。
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