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「次はー○○駅。○○駅。」
アナウンスが流れ、目的の駅に到着する。
はー、ナイスタイミング。
これ以上あの2人に見つめられたら、穴が開きそう。
目線を落としながらドアに近付いていくと。
冷たい手が、私の手をキュッと握ってきた。
「ひなこ、行こう。」
「……うん。」
後ろで、何あれ?ウソー!って言ってたような気がするけれど。
初めて繋がれた手に、胸が高鳴って。
それどころじゃなかった。
「大きいなー。」
「…う、うん。」
改札を出て、エスカレーターを上がるとすぐに目的地がある。
切符を通す時に、一度離れた手は。
また、自然とカインに繋がれてしまった。
「よし。中に入ろう。」
「あ、あの。……手…」
「迷子にならないように、繋いでてくれ。嫌か?」
「…っ。嫌じゃ…ない。」
「ん。じゃあ行こう。」
嫌じゃないから、困ってるの。
それに、そんなに嬉しそうに笑わないで。
もしかしてカインに好かれてるのかなぁ、なんて。
勘違いしちゃうから……。
入り口から、エスカレーターで5階まで上がる。
フォーマルな服、スポーティーな服、お洒落なブランド等々。
色々揃ってる。
カインはどんなのが好きかな?
とりあえず、見たい所に一緒について行こう!
「カイン、気になるとか見たい服があったら、そのお店入って見よう。」
「ん、分かった。」
ぐるっと右回りに一周したんだけど。
結局、どのお店にも入らなかった。
「気になるの、無かった?」
「…いや。他のものが着たいとか考えたこと無かったから…正直分からない。」
「…あー、そうだね。じゃあ私の気になるお店行ってもいい?」
「もちろん。」
「よし!行こう!」
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