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また右回りに進んで、2件目のお洒落だけど派手すぎないシックな服が多いお店に入る。
Tシャツとか、パンツを手にとってると。
正直どれも似合いそうで、凄く迷う。
とりあえず、無難な白のポロシャツと、青色のTシャツ、あとはGパンを手に取って。
店員さんに、試着室を使わせてもらうよう声をかけた。
「この中で着替えて、終わったらこのカーテン開けて。」
「分かった。少し待っててくれ。」
ごそごそと、試着室からは衣擦れの音が聞こえる。
こんな風に、男性のお買い物に付き合うなんて初めてだから、ワクワクするけど、ちょっと緊張もするな。
他の服も見ながら待っていると。
シャーッと、カーテンの開く音がした。
「………。」
白のポロシャツにGパン姿で出てきたカインは、モデルか芸能人みたいで。
雑誌から出てきたの?って思う位、似合ってて。
見蕩(みと)れて言葉が出てこなかった。
「どうだ?」
「……。」
「…ひなこ?」
「あっ!うん。凄く似合ってる!それにしよう。」
「そうか、ではまた着替える。」
「…うん。」
赤とか、深い緑も似合いそうだな…。
上はそんなに高くないから、数枚買っても大丈夫だし。
着替えて出てきたカインから、さっき試着した服を受け取って。
新たに追加したTシャツと、合わせて購入した。
「ありがとうございましたー」
店員さんに見送られながら、ほくほくした気持ちで店を出る。
「カイン、スッゴク似合ってた!」
「そうか。」
「うん!着てもらうの楽しみー。」
「あぁ、俺も楽しみだ。」
ふわっと、優しく手を繋がれて微笑み合う。
…これって端からみたら、カップルに…見えたりするのかな?
って、バカバカ!
何を考えるのよ、私。
一人であたふたしていると。
「おーい!夏目~、彼氏とデートかぁー?」
大きな声が、向かいの店から聞こえてきた。
「え?!!い、石橋君?!」
クラスメイトの男の子に、まさかのタイミングで会ってしまった!
マズイ。
一緒に住んでるとか、もし学校から親に伝わって、バレたら。
カインと居られなくなっちゃう。
「カイン、クラスの子なの!ちょっとだけ待ってて!」
返事も待たずに、一目散に石橋君のもとへ向かった。
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