93人が本棚に入れています
本棚に追加
無言のまま家まで着いて、何か気まずいなって思ってたら。
部屋に入るなり、リビングに連れられソファーにぐっと押し倒された。
「え、何…」
「ひなこ……血が欲しい。」
「……え?」
「この前貰ったばかりだが……喉が乾いて堪らない。」
不機嫌だったのは、そのせい?
もしかしたら慣れない外出で、ストレスとかあったのかな。
「…うん。いいよ。」
「………ひなこ…」
「……っ!」
首に息がかかり、ぐっと牙が食い込む。
チクンとしたあとは、ただもう身体が熱くなるだけ。
チュク、チュッと、舌で舐めたり、器用に啜ったりされると…。
「…んっ、カイン……っ」
「……はぁ。美味い。……もっと。」
「あっ、………ダメッ…それ…」
「ん、耳も気持ちイイか?」
首を舐めていた舌が、ゆっくり耳をなぞってくる。
ゾワゾワと背筋に走るのは、まぎれもない快感だった。
「……やぁ……っ、カイ…ン…」
「ん?」
「…それ、血と……関係な……んんっ」
「あぁ、でも気持ち良さそうだな。」
耳たぶを優しく噛まれたり、舌でジュルッ舐めて吸われたり。
もう…こんなのオカシクなる。
私を押さえつけていた手は、今はぎゅっと抱き締める為に使われていて。
体温なんて感じないはずなのに。
カインの身体も、熱い気がする。
ふわふわと気持ち良くて、身体が浮いていきそう。
いくら、媚薬が効いてるとはいえ。
こんなに気持ちイイものなの?
それとも……カインだから?
カインに触られるのは、嫌じゃない。
どうしよう。
いつかは居なくなっちゃうのに。
……怖いよ。カイン。
「……カイン…。」
助けを求めるように、名前を呼んで。
私の意識は、ぷっつりと途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!