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世話焼きで、明るくて元気な楓。
よく通る声をしていて、黒髪のショートが小さい顔によく似合っている。
大きな一重の目は意思の強さを表していて、勉強はちょっと苦手だけどスポーツ万能な女の子だ。
可愛いというより美人な顔立ちで、よくモテる。
そう言えば、楓の恋の話って聞いたことないな。
「ねぇ。」
「ん?」
「私も彼氏か好きな人出来たら教えるから、楓も教えてね。」
「あー。…うん。」
珍しく歯切れの悪い返事に、不自然さを感じる。
「え、もう彼氏いる…とか?」
「……彼氏じゃない。」
「!じゃあ、好きな人?!私の知ってる人?」
ううーと唸りながら、顔を赤く染める楓が新鮮で可愛い。
「恥ずかしくなるから、この話はまた今度!」
「えー!色々聞きたいのにー。」
「ひなの困りごとが解決したら、教えてあげる。」
何だかんだ言って、私のこと気にかけてくれてるんだなと思うと「フフっ」と笑ってしまった。
「突然なにー?」
「んーん。いい友達持ったなぁって嬉しくなってたとこ。」
「まぁね。」
ふふん。と両手を腰にあてて、わざとふんぞり返って見せる楓の優しさに、胸が温かくなる。
「うん。ありがとう、楓。」
「もー。ひなには敵わないなぁ。」
「え、何が?」
「なんでもなーい!」
笑って過ごす時間はあっという間に終わり、授業開始のチャイムが鳴った。
昼休み後は少し気が紛れて授業に集中出来たけれど、放課後が近付くにつれて、ソワソワした気持ちが沸き上がる。
そしてまた懲りずに、カインのことを考えてしまうのだった。
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